コンサート
 


 第7回明窓舎コンサート
平成25年12月23日(祝)天皇誕生日

午後2時半 開場  3時 開演


 デザイン 堀 羊斉
 

 ご挨拶   

  今秋は二十年に一度の「伊勢の遷宮」がありました。
 伊勢神宮は正式には神宮。祭神は天照大神。大神は、
 皇室の祖先神として広く国民の尊崇を集めています。

 『日本書紀』垂仁紀によれば神託を受けた皇女倭姫
 (ヤマトヒメ)が諸国を巡遊し、伊勢の地に至って、
 太陽神でもあるこの大神を鎮座させたとあります。
   今回のコンサートは古代幻想と題し、『古事記』
 『日本書紀』に登場する伝承上の英雄日本武尊を取り
 上げました。われらがヤマトタケルを描くにあたって
 は、なんといってもロマン豊かな『古事記』の物語
 によらなければなりません。とくに英雄にかかわる
 数々の歌謡は人々の心を魅了してきました。それら
 の歌謡を取り入れて第U部の音楽朗読劇「白鳥の歌」
 に仕立ててみましたが、エッセンスは第T部の能舞
 「日本武尊」に昇華させておくという二部構成です。

 父景行天皇に疎まれるタケルには兄を殺した罪が
 あります。勅命とはいえ西へ東へと遠征に明け暮れる
 試煉に耐えつつ望郷の念はいよいよ強まっていった
 ことは容易に察しがつきます。しかしミコトはついに

 懐かしい大和へ帰ることなくして三重の能褒野の地に
 没しました。兄殺しや都追放などの筋立は古代ギリ
 シャの「
オイディープス王」の悲劇とどこか一脈通じ
 ているような気がしますが、大きく異なるのは、日本
 武尊の悲劇が高貴な女性たちの献身的な働きによって
 高められ、物語として完成されている点です。

  劇を作る上でもっとも大事な心得は、「ことば」に
 いかに命を与えることができるか追求することです。

   古代には言霊が信じられていました。しかるべき時
 にあたって「ことば」が発せられたとき、運命は必ず
 動きます。タケルは再度の遠征を命じられた時、「言
 挙げするも憚りあれど」とつぶやいた。「我に死せよ
 との詔」と受け止めたのです。そして伝承はたしかに
 
彼の遠征途上の死をもって予言を的中させています。

  もしも英雄が生きて都へ凱旋した場合、父子の対面
 はどのようになっていたでしょうか、まさに「言挙げ
 するも憚りあれど」
想像は尽きることがありません。
  ふだん能や歌舞伎・文楽といった古典芸能に親しん
 でいる方はことばの壁を少なからず感じながら、なお
 その壁を内心は楽しんで、鑑賞しているのではないで
 しょうか?  コンサートでうたう古事記歌謡の中に
 は枕詞が入っています。「さねさし」「やつめさす」
 「八雲立つ」「畳薦」などその多くは呪術的慣用句で
 他に「愛しけやし」もほとんど同じ機能をもっていま
 す。それ以外にも今日では難解というべきことばがあ
 りますが、あえて古語を多用して脚本をつくりました。
 
   言霊に思いを馳せつつ劇中の歌と演技をとおして
 古代幻想の世界をかいまみていただければ幸いです。

   本日はご来場まことに有難うございました。

 平成二十五年十二月二十三日 天皇誕生日

             明窓舎主筆 根岸 弘


第7回 明窓舎コンサート
古代幻想
 
〜或る古事記物語〜 
    歌曲と朗読・能管独奏など
   詩と音楽の創作作品を中心としたコンサート  
銀座かねまつホール
東京都中央区銀座6-9-9


午後2時半 開場
  3時  開演


チケット
 一般3000円
 (学生2000円)
 
         プログラム
           解説   根岸 弘
  
第T部  能舞「日本武尊」
     シテ  熊谷眞知子        

      笛  根岸啓子
        (休 憩)
  
第U部  朗読/音楽劇「白鳥の歌」
             /朗読・貴慈瑠  
     日本武尊     前田幸輔    
       鏡の巫女     慈雨
       鳥船の巫女   堀田華子

        八雲の巫女     藤原舞子
              /音楽・初音里 
  
 「青き花〜また いつの日か」  前田幸輔
銀座中央通り
東京メトロ銀座駅A2出口 
徒歩3分
 
   

 

  コンサート協賛 (株)小田原鈴廣


 第7回明窓舎コンサート
平成25年12月23日(祝)天皇誕生日
公演記録写真

以下のURLをクリックしてご覧ください。
https://plus.google.com/photos/100083536868978696990/albums/5960611811650543857?authkey=CNvulf3MlOCjnwE

  photo by Satoshi Yamada  2013







 

   ご挨拶

  わたしたち人類は、宇宙の神秘から生命の不思議に至るまであらゆる物象の
 本質を知りたいと願って永い歳月をかけて文明を築いてきました。
  四大文明発祥の地の一つであるインドに生まれた世界観の中心に須弥山があ
 ります。のちに仏教は須弥山を教義に取り入れました。とくにチベット仏教
 ヒマラヤ山脈にあるカイラス山を、宇宙の中心に聳える主峰と仰ぎ、周囲に連
 座する高峰とともに万年雪に輝く光景をもって、この世における曼荼羅として
 観想してきました。

  十九世紀末、鎖国中のチベットに原始仏典を求め潜入しカイラス山を最初に
 見た日本人僧が河口慧海でした。以来日本とチベットは互いに、信仰厚い仏
 国として尊敬しあいつつ交流を深めてきました。
  ところで河口慧海の『チベット旅行記』で世界に知られた秘境も、一世紀余
 を経た現在では、遊牧民定住化政策に伴う高原草地の荒廃、森林濫伐による
 境破壊が深刻です。また源流のダム建設ラッシュは下流アジア諸国の水利権を
 脅かしつつあります。


  現在のチベットは政治的に複雑な立場に置かれて
います。昭和三十四年(19
 59
)チベット動乱勃発。ダライ・ラマ十四世はインドに亡命、政治難民となり、
 ダラムシャーラーに亡命政府を樹立。爾来十四世は、国内外のチベット人民の
 最高指導者として活動、平成元年(1989)に
世界平和やチベット宗教・文化の
 普及に対する貢献により、ノーベル平和賞を受賞しましたが、チベットの現状
 は揺るぎません。

  第6回明窓舎コンサートは日本とチベットを音楽でつなぐプログラム「雪山
 牧歌」を用意しました。雪山は聖なるカイラス山を指しています。聖山を仰ぐ
 時、チベットの人々は宇宙を観じ自身の内面を省み、おのずからなすべきこと
 を悟ってきました。
  ゲスト出演者はチベット伝統音楽の継承者、テンジン・クンサン氏、インド
 生まれの難民3世です。故国を思い、歌い奏でる音楽に、チベットの心を雪山
 牧歌の心を感じていただければ幸いです。
  最後になりましたが、本日のご来場、 誠にありがとう存じます。音楽工房
 「まど」のメンバーと共に心より深く感謝いたします。


  平成二十五年七月二十七日

                       明窓舎 主筆   根岸 弘


 第6回 明窓舎コンサート
雪山牧歌 Sessen Bokka
   歌曲と朗読・能管独奏など
詩と音楽の創作作品を中心としたコンサート
 2013/7/27(土〕
            後援/横浜清笛会・雲隠之会
       協賛/山本ビル管理(株)小田原鈴廣 

 絵本塾ホール
東京都新宿区若葉1-22-16
ASTYビル地階


午後5時半 開場
  6時  開演

チケット
一般2500円
(学生1500円)

懇談会参加費
一般1000円
(学生500円

               
              プログラム

 第T部
 一管「雪山」         能管   根岸啓子
 「五色 Goshiki」       舞    藤原舞鶴
                音楽    初音里
   解説 日本からチベットへ
         「河口慧海の軌跡」   根岸 弘
                音楽    初音里
          (休憩)
 
第U部
 「チベット音楽とお話」          
   チベット伝統音楽学校 主宰  テンジン・クンサン
                      野田 潤
                      島田久美
 
第V部
 「ヒマラヤ牧歌」        テンジン・クンサン
 「青き花」            音楽工房「まど」


徒歩3分最寄り駅「四ッ谷」
JR線/丸ノ内線/南北線(赤坂口)
徒歩7分 迎賓館方面

 コンサート協賛 (株)小田原鈴廣

 

     
     

 写真提供 木下 朋

   河口慧海は仏教学者・チベット探検家。慶応二年(1866)和泉国堺山伏町に生を
 享く。家業は樽桶製造業。『釈迦一代記』を読み感動、生涯釈迦を師と仰ぐ。苦学
 して哲学館(現東洋大学)を出で、宇治の黄檗山で一切蔵経を読むうちチベット行
 きを決心す。明治三十年(1897)六月神戸出帆、時に慧海三十二歳。当時チベット
 は鎖国。インドでチベット語習得後、身分を隠し日本人として初めてヒマラヤ山脈
 を越え潜入、首都ラサのセラ寺に学び明治三十六年(1903)五月帰国。翌年『西蔵
 旅行記』出版。明治四十二年(1909)には英訳本《Three years in Tibet》刊行。
 チベットの仏教・地理・習俗を国内外に伝ふ。第二回チベット旅行も果たす。昭和
 二十年(1945)歿。
             

     
     
     
     

 写真撮影 明窓舎

 

 リハーサル風景

     コンサート述懐

    泉州堺探訪
  チベツトを慧海に知りぬ雁帰る
    隅田川花火大会中止
  雷よそにヒマラヤ牧歌聴く夜かな


第5回 明窓舎コンサート        歌曲と朗読・能管独奏など
  詩と音楽の創作作品を中心としたコンサート
 2012/12/24(月〕
振替休日
  協賛 /小田原鈴廣・横浜清笛会 
   雲隠之会・山本ビル管理
 銀座かねまつホール
東京都中央区銀座6-9-9

午後2時半 開場
  3時  開演


チケット
  一般3000円
  (学生2000円)
   舞踊/「Sanctus」      藤原舞鶴
 朗読/「炎のいとし子」    中上 紀
 能舞/「イシス」  シテ 熊谷眞知子
              地謡 熊谷愛子
              笛  根岸啓子
 朗読・音楽劇「イシスの泪〜埃及の聖母子」
              朗読 貴慈瑠
    オシリス 前田幸輔 
      エチオピアの女王・大道玲那
           部族長 堀 寛斉 
               西村光一

                    音楽工房 「まど」
 歌/「おきているこ だあれ」  初音里
   「青き花」
             前田幸輔

銀座中央通り
東京メトロ銀座駅A2出口 
徒歩3分

   


     


 


   

   
 

photo by Haruko Takahashi  2012 

 

 「砂漠の商人」 仁尾浩一・画

 
   ご挨拶

 昨春三月十一日、あの日わたしたちが体験した地異の傷跡は、いまだ
 厳しい現実の姿を留めています。
  こうした受け容れがたい現実を迎え入れつつ超えてゆく手立ての一つ
 に、すぐれた想像力があります。

  明窓舎は第5回コンサートの主題に古代エジプト神話を選びました。
 
  神話の背景には古代文明を豊かな育んだナイル河の恵みと、その恵み
 を繰り返し阻む自然の猛威があります。

  その寓意をオシリスと妻イシスその子ホルスへとつづく神話の系譜の
 なかに読み解き、朗読/音楽劇に仕立て直しました。クリスマス・イヴ
 に公演する所以はイシスとホルスが「エジプトの聖母子」と呼ばれてい
 ることにあります。
 

 天地創造、神々と人間の誕生。その有史以前の記憶にはよりどころと
 なった自然環境があります。わたしたちは最新の科学を信ずる前に、神
 話にこめられた先祖の体験を通し、自然に内包されている永遠なるもの
 を謙虚にまなび、真の想像力を涵養しなければなりません。

  古代神話は現代になお生きつづけているのです。

  今回、能楽シテ方熊谷眞知子師、作家・詩人中上紀氏には、コンサー
 トの主題をふまえての客演を快くお引き受けいただくことができました。
 音楽工房「まど」のメンバーとともに深く感謝しております。
  最後になりましたが、本日のご来場、誠にありがとう存じます。
 
  平成二十四年十二月二十四日
                     明窓舎主筆  根岸 弘



 創作メモ
朗読/音楽劇の創作の源泉となったのは昨年のエジプトの政変でした。
ご来場の皆様に差しあげた麦には、自然の恵みへの感謝の思いと自然の猛威への向き合い方への暗示となればという思いが込められています。


     民衆蜂起              Minsyuu houki
  春塵やフアラオの眠り覚ますらん   Shunjin ya pharaoh no nemuri samasu ran.  
  エジプトの春あらたなり五千年    Egypt no haru arata nari go-sen-nen.

    ○麦               ○Mugi
  麦の穂のイシスの涙に暮れかゝる  Mugi no ho no Isis no namida ni kurekakaru.
  死なむとて落ちぬべし一粒の麦   Shinamu tote ochinu beshi hitotsubu no mugi.



 風景の記憶 U
第4回 明窓舎サロンコンサート
歌曲と朗読・能管独奏など詩と音楽の創作作
品を中心としたコンサート。ワンドリンク付
 
 2012/5/20(日)    後援/横浜清笛会 
協賛/雲隠之会
   Performing Gallery & Cafe
絵空箱

 
   
 
 地下鉄有楽町線「江戸川橋」駅
1b番出口徒歩2分

地下鉄東西線「神楽坂」駅
2番出口徒歩9分


東京都新宿区山吹町361
誠志堂ビル1F/2F

   
 T部  ○14:00開演    ワンドリンク付 \2,500
  「能管の調べ」/根岸啓子
  独吟「小姫の段」/熊谷眞知子
  「おくのほそ道」/朗読・貴慈瑠 中澤恵都 
                   /音楽・初音里 草寧音
      松尾芭蕉/松井裕紀  
      早乙女・柳の精 /藤原舞鶴
                         映像構成・山田智士
  「とほのみやこ」/詩・根岸 弘
           歌・ピアノ 初音里        

   「星への旅」/詩・貴慈瑠
         歌・前田幸輔 ピアノ・初音里
 
  「翼を広げて」/詩・貴慈瑠
          歌・前田幸輔
 ピアノ・初音里
  「青い花〜また いつの日か」/詩・根岸 弘
                 歌・前田幸輔
 ピアノ・初音里
          ☆   ☆   ☆   ☆
 U部  ○17:00開演     ワンドリンク付 ¥3,000
  能舞「桜川」/熊谷眞知子 熊谷愛子
                  /笛・根岸啓子
  詩「極彩色の水平線」/朗読・中上 紀        
  詩「龍の卵」/朗読・中上 紀
  舞踊「Stellar Scope」/舞踊・藤原舞子/語り西村光一
             /台本・大道玲那 構成・堀 寛斎     「とほのみやこ」/朗読・貴慈瑠
            歌・ピアノ 初音里
   「道しるべ」/詩・貴慈瑠
          歌・前田幸輔 ピアノ・初音里
   「翼を広げて」/歌・前田幸輔 ピアノ・初音里     




 





   


   


     


photo by Satoshi Yamada  2012




   あやめ艸足に結ばん草鞋の緒  芭蕉  
            
 過日は「明窓舎サロンコンサート」にお運びいただき誠に有難う存じます。
 昨春三月十一日の地異はまだ昨日のことのようですが、すでに一年余り経過
しました。被災地に住む人々の多くは恐らく今も現実を受け入れかねているに
ちがいありません。昨秋十一月二十三日のサロンコンサートのテーマ「風景の
記憶」を承け、今回は「風景の記憶 U」としてプログラムを組みました。
 
   春霞まぼろしの世に穿く草鞋

 ことし元禄二とせにや、奥羽長途の行脚ただかりそめに思ひ立ちて…かつて
芭蕉が旅したみちのくは、そのまま千年に一度という大地震に見舞われました。
津波に飲み込まれた陸前高田松原に最後まで残った一本松は、「風景の記憶」
とは何か、という命題をわれわれに象徴的に示してくれたものといえましょう。

 自然豊かな美しい国土は同時に、突如として牙をむく自然災害と隣り合わせ、
我が国の文学も芸能もこの相反する絶対的な制約の裡に育まれてきたものです。

 眼裏に塵あつて三界搾く、心頭無事にして一床寛し…平家一門の滅亡を予見
した公達の音曲風雅の世界は滅びし者にのみ許されたものです。暁の月に嘯く
気色にて、船の舳板に立ち上り、腰より横笛抜き出だし、音も澄みやかに吹き
ならし…清経入水は究極の死の美学であり、日本人の死生観の極地なのです。 

 末期の眼に映る風景が最も美しいものであるとすれば、その風景の記憶は、
もはや生きて見る機会がない点で、穢土を離れた永遠の美しさを保っているの
です。生き残った者はただひたすら美の敗者に甘んずるのほかはありません。

 風景に魂うばはれ、懐旧に腸を断ちて、はかばかしう思ひめぐらさず…芭蕉
の言葉の錬金術は「風景の記憶」を永遠にとどめるためにこそあったのです。
『おくのほそ道』という一文学現象の根柢にあるものは何か、さらに追求して
ゆかなければならないと思量し、紀行後半の朗読を将来の課題に残しました。

  平成二十四年五月三十日                       
                     明窓舎主筆  根 岸 弘 拝
  
 


風景の記憶
第3回 明窓舎サロンコンサート

 
歌曲と朗読・能管独奏など詩と音楽の創作作
品を中心としたコンサート。ワンドリンク付


 2011/11/23(祝)
 
後援/横浜清笛会 
協賛
雲隠之会

      
            Performing Gallery & Cafe                   第3回明窓舎サロンコンサート               
      絵空箱                                風景の記憶
 
 

 





 

 

地下鉄有楽町線「江戸川橋」駅
1b番出口徒歩2分

地下鉄東西線「神楽坂」駅
2番出口徒歩9分


東京都新宿区山吹町361
誠志堂ビル1F/2F

 
 T部  14:00開演
   「みるなの倉」 /朗読・貴慈瑠
           笛・草寧音 鉦・松井裕紀
  「曼珠沙華」  /舞踏・藤原舞鶴
  「菜摘歌」    /歌・前田幸輔 初音里
  「やまとしうるはし」「明日香の子守歌」

           /ピアノ・歌 初音里
  「石川台追想」 /朗読・貴慈瑠
                  映像構成・山田智士
             映像協力・津田佑介 桑原拓也
  「坂道の町」   /歌・ピアノ 初音里
   「また いつの日か」 /歌・前田幸輔
       マンドリン・中村茉莉 ピアノ・草寧音   
          ☆   ☆   ☆   ☆
 U部  ○17:00開演
    「砧」 /謡・熊谷眞知子 笛・根岸啓子
    「天の夕顔」創作能舞 /企画構成 根岸 弘
     舞・熊谷眞知子 笛・根岸啓子 朗読・貴慈瑠
   「いとしい人へ」 /歌・ピアノ 初音里        
   「みるなの倉」 /朗読・貴慈瑠
           笛・草寧音 鉦・松井裕紀
   「また いつの日か」 /歌・前田幸輔
     マンドリン・中村茉莉 ピアノ・草寧音      



 

     


     



   


     


 


     

photo by Satoshi Yamada  2011



 
   民草を束ね憩へる新嘗祭 

  全国民の脳裏に深く刻まれた未曾有の地異、東北関東大震災の日から八カ月余を閲した
勤労感謝の日、サロンコンサート開演に先だち、被災地への巡幸重なって、ご体調を崩さ
れた天皇陛下のご快癒を、会場の皆様とともに心より祈念いたしました。

 引き続き「風景の記憶」のテーマのもと、二部構成のプログラムに移りました。

 「やまとしうるはし」から「坂道の町」まで古代より現代に至る風景を描く一方、

天界に咲く赤い「曼珠沙華」、ドイツ・ロマン派の「青い花」、中河与一「天の夕顔」
のごとき、この世ならぬ花のある幻の風景をも追い求める内容であります。
 

  手まくらにみどり児ねむる小春かな


 当日は、三歳のおさなごから九〇歳のご婦人まで、じつに幅広い年齢層の方々にご入
場いただき、御蔭さまで今後の活動に資する貴重な指針を得ることが出来ました。

 U部の終演後、暮色の江戸川橋界隈にさっと時雨が通りすぎました。あたかも芭蕉が
まだ桃青と号し、そのかたわら神田上水の水道工事に携わっていた当時の江戸の風景を
思い起こさせてくれるようで、ひとしお感慨深いものがありました。

  
  なつかしや江戸東京の小夜時雨

 時空のなかにある風景と如何に向き合い如何に生きるか。そうしてまた、その風景を
如何なる手段を通し自他の共有するところとなすか。模索は絶えることがありません。
 有難いことに今回のサロン時空を通し、また新たな人脈も生まれました。主催者冥利
に尽きることと申さねばなりません。互に連携し、さらなる展望を切り拓いてゆける日
の一日も早く実現出来るよう、なお一層努力を積み重ねて参る所存でございます。


  平成二十三年十一月二十三日                       
                     明窓舎主筆  根 岸 弘 拝





明窓舎チャリティーコンサート  
「道しるべ」
歌曲と朗読・能管独奏など詩と音楽の創作作
品を中心としたコンサート。ワンドリンク付
2011/5/28(土)
午後2時開場
午後3時開演 
後援/横浜清笛会 
協賛/雲隠之会

 Performing Gallery & Cafe
絵空箱
 
    東北関東大震災支援     
 チャリティーコンサート  
地下鉄有楽町線「江戸川橋」駅
1b出口徒歩2分

地下鉄東西線「神楽坂」駅
2番出口徒歩8分


東京都新宿区山吹町361
誠志堂ビル1F/2F

初音里/歌・ピアノ「星合の空」
初音里/歌・ピアノ「道しるべ」
初音里/歌・ピアノ「空の旅人」

草寧音/ピアノ「陽関三畳」(朗詠/根岸 弘)
草寧音/ピアノ「春舞」
草寧音/ピアノ「双飛胡蝶主題変奏曲」

熊谷眞知子/能舞「祈り」

貴慈瑠/朗読「良寛ー月の兎ー」 
          初音里/ピアノ


音楽工房「まど」/「櫻の木の下に」
   


 

 

 
 
 

 

photo by Satoshi Yamada  2011 


  
  万本の蓮糸たらせ春の空

 過日は「明窓舎チャリティーコンサート」の趣旨をご理解され、小雨降る中、
お運びいただき誠に有難う存じます。
 
  きづな追ふ桜前線北上す

 桜の開花とともに、福島・宮城・岩手と被災地に多くのボランティアが駆け
つけ復旧の手助けをするニュースが流れました。また、現在も日本だけでなく
世界の各地でチャリティーコンサートが開かれています。

  目に見えぬ童子棹さす花筏 
    
 明窓舎の近くを神田川が流れています。両岸の桜並木からの絶え間ない落花
を受け、つぎつぎと美しい花筏が組まれてゆきました。

  蝶生まる人なき村の片ほとり

 大地震・大津波はさらに人災ともいうべき福島原発事故を引き起こしました。
被曝を避け、家々、村々から人影が消えました。

 
 この度のプログラムは、三月二十日(日)「雑司が谷音楽堂」のコンサート用に準備したものに修正を加え、鎮魂と再生、望郷をテーマに再構成しました。               
 奇しくも三月十日にオープンした「Performing Gallery & Cafe 絵空箱
被災地に繋ぐ企画に賛同し、皆さまと共有できた時間に感謝しつつ、次の企
画の検討を進め、またご案内を差し上げたいと存じます。   
 なお、入場料の一部を「絵空箱」を通して日本赤十字社に義捐金として寄付
させて頂きましたことをご報告申し上げます。
 

  平成二十三年五月                       
                     明窓舎主筆  根 岸 弘 拝
  




コンサート中止のお知らせ◆ 

2011/3/11(金)に東北関東大震災が発生しました。
安全を最優先し、予定の下記コンサートを中止いたします。

2011/3/13(日)

明窓舎サロンコンサート    歌曲と朗読・能管独奏など詩と音楽の創作作品を中心としたコンサート。ワインのドリンクサービスを用意 

 2011/3/20(日)
  後援/横浜清笛会 
協賛
雲隠之会

 雑司が谷音楽堂
 
地下鉄副都心線「雑司が谷駅」3番出口より
(目白通り口)徒歩5分
JR「目白駅」下車バス白61系統新宿駅行
高田1丁目下車3分
  根岸啓子/能管(「葛城」より)
草寧音/ピアノ「陽関三畳」(朗詠/根岸 弘)
       「双飛胡蝶主題変奏曲」
貴慈瑠/朗読「春の旅人」 
       笛・根岸啓子

前田幸輔/歌「道しるべ」
       ピアノ伴奏・初音里

前田幸輔/歌「櫻の木の下に」
       ピアノ伴奏・初音里
松井裕紀/トーク        司会/山田智士 
   



明窓舎サロンコンサート   
歌曲と朗読・能管独奏など詩と音楽の創作作品を中心
としたコンサート。ワインのドリンクサービスを用意

 
 2010/9/4(土)
T部 2時開演    U部 5時開演
 
後援/横浜清笛会 
協賛
学習院大学山岳部OB会
   神楽坂「月夜野」ワインセラー忍野
   インデイアンレストラン アールティ
   雲隠之会


   銀座「音楽の部屋 Cantata
   
  銀座七丁目にある小ホール。備え付けのピアノは
 ヤマハが昭和三十五年(1960)清宮貴子内親
 王と島津久永氏のご成婚を記念して50台限定製
 作したうちの1台
   初音里/「菜摘歌」 草寧音/独奏「秋のピアノ曲
 2題」 貴慈瑠/朗読『天の夕顔』
 前田幸輔/ボーカル「道なき道を」
 松井裕紀/トーク           他
 

 
 photo by Satoshi Yamada 2010




   小狐の何にむせけむ小萩はら  蕪村             


 過日は「明窓舎サロンコンサート」にお運びいただき誠に有難う存じます。
 ささやかながらも現代の時流を超えた詩と音楽の饗宴を催したいという共通
の思いで、出演者・スタッフ一同それぞれ微力ながら努力を重ねて参りました。

 おそらくいつの世もひとは誰であれ生きることの代償としてある束縛を甘受 
してきたに違いありません。その束縛を解き放ち、ひとを自由にするところに 
芸術の存在理由があります。                       

 詩は現代ではもっぱら黙読による鑑賞が主流になっています。理由はさまざ
ま考えられます。しかし少なくとも日本の古代あるいは王朝時代の詩はそうで 
はありません。かならず歌い口ずさんでいました。それも約束された音節数で、
「自分の感情をのべうたうこと」という〈抒情〉の原義通りに。       
 ではこの〈抒情〉における「自分」とはだれか? 同時にそのことを問いか
けている「あなたという自分」とはだれか?                
 ひとがある抒情作品を耳にした際、郷愁にも似た魂のゆらぎを感ずる刹那が
あるとすれば、それはまさに、だれか? と問われているそれぞれの「自分」 
が、たがいに問い問われる過程のさなかに精神と感覚の境界をなす深淵におち 
いり、未生以前の「自分」に遭遇したことを意味するのです。        
 CD化したプログラム作品の中から例を引き、具体的にのべてみましょう。 
 「菜の花道に」は口語定型詩で、むろん黙読による鑑賞が可能です。しかし
詩はピアノの楽譜にのせ歌われ、時間芸術である詩と音楽の融合によって、世
にいう抒情曲となりました。そうしてこの曲の主人公は、じつは神々の代から
現代までを生きている旅人である「あなたという自分」なのです。同時にその
無限の時空をゆく旅愁をピアノの旋律がたゆたうようにのべうたっています。
 仮にこの抒情曲を聴いてひとが癒されたとすれば、こうした仕掛けを受けて
永遠の生命を受けたかのような不可思議な体験をしたことを物語っています。
   菜の花道に 風たえて                      
   神々のとき よみがえる                     
ひとは遙かな記憶をとおし、何度でもよみがえり生きられるのです。    

 銀座の一角にある「音楽の部屋Cantata」で皆さまと共有できた時間に感謝し
つつ、次の企画の検討を進め、またご案内を差し上げたいと存じます。   

  平成二十二年九月吉日                       
                     明窓舎主筆  根 岸 弘 拝
 
 


 初音里抒情曲集1   CD 
     限定版/定価1800円(別途郵送料200円)
    ご注文は明窓舎メール または
コンサート会場で直接承ります

創作歌曲と能管独奏
自然と人のいとなみ
とのかかわりのなか
に生まれた抒情を音
楽に形象化する試み
 
 
菜の花道に/詩・根岸 弘 
      曲・歌 初音里
庭の千草/能管 根岸啓子
絵手紙/詩・根岸 弘
        曲・歌 初音里
 絵手紙
 


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